世界中をマーケットにできる越境ECはどんな商品にも大きな可能性を秘めています。日本で全く売れないものも世界を相手にすればヒット商品になるなんてこともあり得る世界です。ただやはり売りやすいもの、売りにくいものといった傾向があるのも事実です。
越境ECで売りやすい(取り扱いしやすい)ものは大まかにいうと以下の4つがあります。
1.単価の高いもの
2.希少性が高いもの(他国に普及していないもの)
3.小さいもの
4.壊れにくいもの
1.単価の高いもの
国内・海外問わずどの事業者様も高い商品を売りたいのは当然ですが、特に越境ECでは単価の高い商品を取り扱いたいところです。最大の理由は送料の高さにあります。国内ECの場合は一般的なサイズなら1000円以下で商品を送ることができますが、越境ECの場合はその倍近くの送料がかかります。AmazonFBAを活用するなど、1個あたりの送料を下げる工夫はできますが、やはり単価の安いものは利益が出にくく労力の割には儲からないという事態になりがちです。できれば客単価5000円くらいは狙いたいところです。
2.希少性が高いもの(他国に普及していないもの)
越境EC販売での商品選定・商品開発において、進出を狙う国・地域で販売を図る商品の類似の商品が出回っていないかを確認することはとても重要です。もし自社が海外で販売したい商品に似ているものがその国の自国生産で出回っていた場合、まず価格で負けてしまうことでしょう。流通面においても当然自国生産品のほうが有利です。またほとんどの国のECにおいて安価な中国製製品がかなり普及していることもあり、日本の製品は価格面でかなり不利であります。ただもしある商品がその国でとても希少性が高く類似品が少ない場合、多少高くても購入したい人は購入してくれます。
ではとにかく他国に無い商品を販売しようとした場合、「他国で普及していない商品はそもそもニーズが無いからではないのか?」という疑問も出てきます。確かに希少性を追求してもそもそもニーズが無くて売れないというリスクは大いにあります。ただ私は個人的にはニーズの確認よりも希少性の確認の方が大切だと考えています。理由は様々ですが、マーケットが一気に拡大することで「誰かに響く」可能性が高まること、多様性の時代であり「人が持っていない」事に価値をおく人が増えていることなどが挙げられます。
3.小さいもの
小さい商品は単純に送料面で大きなメリットがあります。DHL、FedExなどの国際貨物配送会社(クーリエ)は「容積重量」といって容積を重さに換算した値で送料を計算します(厳密には実重量と比べて重い方を採用)。荷姿が小さくコンパクトな商品はそれだけ送料が安く、海外へも売りやすい商品と言えます。
ただし小さくてもずっしり重い物などを郵便局のEMSなどで送る場合は送料が高くなる可能性があります。クーリエは容積で計算するのに対し、郵便局は重さで計算するためです。
4.壊れにくいもの
ガラス・陶器などの割れ物や精密機械など、輸送中に破損するリスクのある商品は特に越境ECにおいては販売しにくいと言えます。海外配送はかなりの長旅です。国内の配送業者に引き渡され、空港で通関処理を受け、海外でも通関処理を行ない、現地の配送業者にてお客様の元へ届けられます。綺麗に梱包した箱もお客様の元に届くときにはボロボロになっていることも多々あります。私は越境ECを利用して海外から商品を輸入することもあるのですが、箱はかなりボロボロで凹みなどの破損も見られ、通関の時に開けられた形跡などがあることもあります。また日本人に比べると海外の方は少し乱暴に貨物を扱うようなところもあり、国内配送よりも破損リスクは高いことが推察されます。
箱の中の商品が破損していた場合、最悪のケースは売上金を全額返金となり、当然破損した商品も支払った送料も戻ってこないことになります。箱に大きな傷・凹みなどがあり、配送会社に求償することができることもありますが、別途保険に入っていないと戻ってくる額はそれほど大きくないため、やはり損をしてしまうことになります。商品はできれば壊れにくいものを選びたいところです。
まとめ
単価が高くて他国で希少性が高く、小さくて壊れにくいものは越境ECでは恰好の商材となります。ただその分競争が激しくなる分野であるとも言えるため、あえて大きな商品や割れ物の商品を取り扱うという戦略も考えられると思います。自社の取扱商品を良く見極めて海外販売しやすいものから始めて見るとよいでしょう。