越境ECではどの程度の英語力が必要か

越境ECは日本国内でなく海外のお客様に販売するため、外国語に対応できる人材が必要なのではと思われる事業者様もいらっしゃるかと思います。

通常の代理店を設置するなどの海外進出ではある程度その国の言葉が話せないと代理店とのコミュニケーションが難しいため、せめて英語ができるスタッフを置こうという話になると思います。越境ECでも外国語、特にビジネスの公用語である英語は使えるに超したことはありませんが、使えなくても何とかなる方法もあります。

◆AmazonFBAは英語力があまり必要ない

AmazonFBAは一旦FBA倉庫に商品を入れてしまえば商品の発送・返品処理などの手続きは全てAmazonが行なってくれるため、お客様と直接やり取りする機会が少なく、英語力があまり必要ない方法です。

しかも在庫や販売を管理するセラーセントラル(Seller Central)は日本語で管理可能なため、英語サイトを翻訳するストレスなどもないです。

極希に英文で問合せメールが来たりしますし、Q&Aに英文で質問を挙げてきたりしますので、その際は英語で回答することになります。しかし、少し乱暴な言い方になるかもしれませんが、Amazonは圧倒的な集客力があり絶えず沢山のお客様が訪問しますので、英語ができなくて数人のお客様の問い合わせに応えなかったとしても大きく売上には影響しません。

私はアメリカのAmazonFBAを活用していますが、そもそも問い合わせはあまりありません。来た問い合わせには原則返答していますが、答えにくい質問や何を言っているのか分からないものなどもあり、スルーしてしまうこともありますが、売上にはほとんど影響していないと思います。

もちろん商品ページは英語で作るため、その際の翻訳の手間などはかかりますが、写真や動画での説明を充実させることで英語力のなさは十分カバーできます。

そんなに英語ができなくてもスムーズに運営できてしまうのがAmazonFBAです。

◆自社越境ECサイト運営は英語力を強化すべき

一方Shopifyなどで自社越境ECサイトを運営する場合は、英語力はあった方がいいと思います。集客力のあるモールに頼らない自社サイト運営は常連客・固定客作りが大切です。また高単価な商品を販売するためにはブランドイメージを高めていくことが大切ですが、サイト内の英語がヘンテコだったり、問い合わせしても返事が無かったりしたらファンも増えずブランドイメージも高まらないでしょう。

自社サイト運営は問い合わせが来た場合は迅速且つ丁寧に応えていくという地道な取り組みにより、自社ブランドのファンを育み定期的な購買に繋げていくことが大切です。そのため確かな英語力は大きな武器となります。

◆日本人とのコミュニケーションを楽しむ人も

これまで数々の問い合わせに対して返信をしてきましたが、外国のお客様の中には外国人であるECサイト担当者とのメールによるコミュニケーションを楽しむ方もいらっしゃいます。以前日本に住んでいた方や旅行で訪れた方がその土地の話を始めたり、日本の好きな食べ物の話を始めたりする方もいらっしゃいます。そういった販売とは直接関係ないたわいもないお話しでも丁寧に受け答えしておくと、すぐに次の注文が来たり定期的に購入したりして頂けたりするため、越境ECでもお客様とのコミュニケーションは大切な要素です。

◆翻訳サイト・翻訳サービスの活用

とは言っても語学は短期間で身につくものではなく、長い目で見て地道に取り組むものです。あまり英語力に自信の無い方は翻訳サイトや翻訳サービスの活用をお勧めします。

Google翻訳 (https://translate.google.co.jp/

130以上の言語に対応しており、英語はもちろん中国語やフランス語など、主要な言語の翻訳が利用できます。私は使ったことがないですが、カメラやマイクを使用しての翻訳もできるそうです。

私は英語では使用しませんが、英語以外のフランス語や中国語などに変換したい場合はGoogle翻訳を使用します。最近はありませんが以前はロシア語での問い合わせもありGoogle翻訳を活用していました。

DeepL (https://www.deepl.com/

有料版と無料版がありますが、無料版でも十分に精度の高い翻訳をしてくれます。対応言語はGoogle翻訳ほど多くはないですが、日本語から英語へ翻訳したときの大きなミスなどは少なく、私の主観になってしまいますが、Google翻訳よりも翻訳精度が高い気がします。

ただ、こういった翻訳ツールも近年どんどん精度が高まってきていますが、完璧ではありませんので、内容をチェックできる程度の英語力は必要になってくると思います。英語は全く分かりませんという方は人間の手による翻訳サービスを活用することもできます。

TNT Japan (https://tnt-j.com/)

OCiETe翻訳 (https://ociete.jp/translation)

こういった人の手による翻訳サービスは当然有料でありますが、スポットで活用することで社内で常勤のスタッフを雇用するよりは費用を安く抑えることが可能となります。

簡単で短いメールの問い合わせはGoogle翻訳などの無料のWebサービスを活用し、専門的な長い文章やBtoBの問い合わせなど大きなビジネスにつながりそうな重要なメールなどは翻訳サービスを活用するなど、状況に応じて使い分けてもいいと思います。

◆大切なのは聞かれたことに答えられているかと誠意が伝わること

英語を書く際にあまりに完璧を求めすぎてしまうと、嫌になってしまったり必要以上に時間がかかってしまったりしてしまい、越境EC運営にとってはあまり良くない傾向となります。そもそも問い合わせをしてくるお客様は、こちらが英語が母国語ではないことを承知していますし、美しくミスのない文章を求めているわけではないため、まずはしっかりとした文章でなくても聞かれたことに答えられているかを重視するべきです。例えば服のサイズを聞かれたときは、文章になってなくてもよいので箇条書きに丁寧に問われたサイズを記載する、色や形を聞かれた場合は写真添付などを活用しながらお客様にわかりやすく伝えるなどができていればとりあえずは問題ないです。

あとは下手な文章でもしっかりと誠意を伝えるため、Thank you.やI appreciate it.などの感謝の表現、何かしらお断りしなければいけない場合のSorryやMy apologiesなどの表現はしっかりと抑えておき誠意だけはしっかり伝わる文にすることも大切でしょう。文法的にミスが無くても無機質で横柄な文は却ってお客様の怒りを買ってしまいます。下手でもお客様の気持ちを汲み取り懸命に書いた文章のほうが顧客満足度は高まります。

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